
【Essentials】リジッドジーンズを育てる
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※この《Essentials》では、CONTRABANDのデザイナーがジーンズを穿き始めた頃から現在に至るまで、毎日ジーンズを穿き続けてきた中での気付き、経験に基づいた持論を豆知識としてご紹介します。
《リジッドジーンズを育てる》
【はじめに】
まず、CONTRABANDの定番リジッドジーンズについては、
・生地は防捻・防縮加工済み
・生地に糊がついた未洗いの状態
になります。
デニム生地は基本的に生機(キバタ)と呼ばれる、生地を織り上げた直後の状態と、生機の生地を整理加工して防捻・防縮加工を施したものとに分かれます。
生機(キバタ)の状態の生地は「生デニム」とも呼ばれ、洗濯で水を通すことで大きな縮みがや捻じれが発生する為、レプリカジーンズなど一部の製品にしか使われておらず、CONTRABANDでは製品のサイズ変化を嫌う観点から防捻・防縮加工を施した生地を使用しています。
防捻・防縮加工が施されたデニム生地は、生地によって多少差はあるものの、平均して約3%程度の縮率があり、股下で計算すると股下80cmで約2.5cm程度縮む、というイメージです。
【なぜにリジッド(未洗いの)ジーンズを穿く?】
リジッドジーンズは生地に糊がついた状態のため、そのまま着用するととて生地に硬さがあり、穿き心地が良いといえるものではありません。
では、何故にリジッドの状態で販売しているのか?ということになりますが、リジッドのジーンズはその硬さから、着用を続けることで、ジーンズに穿き皺が刻まれます。
着用する人の体型や動き、生活スタイルによって、ジーンズの各所に穿き皺が付いてきますが、この穿き皺の凹凸部分が摩擦などで褪色し、一般的に「ヒゲ」や「アタリ」と呼ばれる経年変化、コントラストが現れてくるのです。
この「経年変化」を楽しむというのがデニムの醍醐味でもあり、リジッドジーンズのように濃色のインディゴから着用を続けることで、濃淡のハッキリとしたコントラストを楽しむことができるのがリジッドの状態から着用するひとつの理由。
そして、もう一つが、「リジッドの濃色を楽しむ」というものです。
リジッドジーンズは生地についている糊が光を反射することで、特有の光沢があり、深い濃色のインディゴカラーには上品さが感じられます。
この光沢は基本的に一度洗濯してしまうと失われてしまうので、最初に洗濯をするまでの間しか、この状態は味わえません。
ジーンズは着用を続け、水を通すたびに濃色から次第に色褪せていきます。
この「濃色の良さ」を楽しむというのも、リジッドジーンズでしか味わうことのできない、ひとつの楽しみではないでしょうか。
【ジーンズはいつ洗う??】
お客様からよくご相談をうけるのが、「リジッドジーンズを初めて洗うタイミング」についてです。
これはもう個人の意見と判断にお任せします、というのが正解なのかもしれませんが、CONTRABANDの推奨するひとつのタイミングについてご紹介させていただきます。
ジーンズの着用頻度にもよりますが、リジッドジーンズを穿き続けると、次第に穿き皺が現れてきます。
この穿き皺の山の部分凸が、次第に少しずつ摩擦などによって褪色してくるのですが、これがある程度目視で確認できるようになってきます。
ここからは個人の判断ですが、穿き皺(ヒゲ・アタリ)がしっかりと確認できるようになったタイミングで、最初の洗濯をしていただいた方が、その後の経年変化をより一層お楽しみいただけるのではないかと思います。
中には「極限までリジッドの状態で穿き続ける」という方もいれば、「ジーンズは自分が好きなタイミングで洗う」という方もいます。
ひとつ付け加えるのであれば、リジッドジーンズは生地についた糊が持つ匂いがありますので、匂いに神経質な方は、穿き始める前にワンウォッシュしてから着用する方が良いかもしれませんし、穿き続けるにしても、「クサくなる前に洗う」というのはひとつのタイミングとしてあるかもしれません。
この「匂い」については、未洗いで着用を続けるうちに皮脂や汗による生地の汚れから、バクテリアなどの細菌が繁殖して匂いを放つ、という原因によるものなので、あまり未洗いで着用を続けると、かえって生地を傷めたり、生地の質感を損なうことに繋がります。
いくらジーンズが好きでも、未洗いで周囲の人から「クサい」と嫌がられてまで着用を続けるのはどうかとも思いますし、洋服として「清潔感」がないということになるとファッションとしても本末転倒になってしまいますからね...
ということで、
■ヒゲやアタリがハッキリと目視できるようになったタイミング
■匂いが出るタイミング(周囲の人に嫌がられる前に洗う)
というのが、CONTRABANDで推奨する「ジーンズを洗うタイミング」となります。
【ジーンズの洗濯方法(初回洗濯】
ではリジッドジーンズを初めて洗濯する際の注意点などをご紹介します。
推奨する洗濯方法は以下の通りですが、家庭環境等も考慮して、あくまで参考として...
①風呂場に連れて入る
お風呂に一緒に入りましょう。「裸の付き合い」ってやつです。まずはここから始まります。※穿いたまま入るという意味ではありません
②シャワーでしっかりと流す
表面や内側についたホコリや汚れをシャワーで洗い流しましょう。
③湯船に熱湯を張る
浴槽、または大きめの桶(普通持ってない)に、熱湯を張る。50度以上がいいんじゃないでしょうか。
④ジーンズを熱湯に投入、小一時間待つ
糊が溶けだすまで30分から1時間程度、放置します。
糊が溶けてくると、お湯がとんでもない色(黄色と青の混ざったような色)になりますが、これは大半が糊の色になりますので、ご安心を。
⑤ジーンズをジャブジャブ洗う
そのままジーンズを洗います。ボタンは全て留めた状態で、ぐちゃぐちゃに洗うのではなく、すすぐようなイメージでジャブジャブ洗います。その後、しっかりと綺麗なお湯ですすいでください。
※インディゴの色が延々に出てきますので、適当なところで止めましょう。
※洗剤を使う場合は「界面活性剤」が含まれていないものを使いましょう
⑥脱水する
脱水機は使わない方がいいかもしれません。ジーンズを裾からくるくると丸めて、ぎゅっと手で押して脱水すればOKです。ある程度水気はとっておきましょう。
⑦皺をのばして整形 ★重要★
洗濯するとジーンズに不要な皺がたくさん入っていることでしょう。
大切なのは、乾燥前にこの皺をある程度取り除いて、できるだけ綺麗な状態で乾燥させることが最も重要です。
※乾燥時に余計な皺が入った状態で乾燥させると、生地に残った糊によって形状が記憶されてしまいます。こうなってしまうと、再び穿き続けることでこの洗濯皺が色落ちしてしまい、不自然な場所に不自然な色落ちが現れる可能性がありますのでご注意ください。
⑧自然乾燥(吊り・陰干し)
乾燥させる際は乾燥機の仕様は避けましょう。とくにタンブラー乾燥はNGです。
ドラムの中で生地が摩擦を受けて毛羽立ってしまったり、大きく縮みが出たりと良いことはありません。ジーンズの洗濯表示ラベルには必ずタンブラーNGと表示されているはずです。
洗濯バサミなども使わないようにしましょう。挟んだ跡が残ります。
できるだけ皺のない状態で、吊り干ししましょう。浴室乾燥などでもいいかと思います。
⑨乾燥後の豆知識
洗濯後に不自然な皺が残ってしまった場合、裏技でアイロンをあてるという方法もあります。リジッドジーンズはできるだけ不自然な皺が入らない状態で着用を続けた方が、その後の美しい色落ちに繋がります。
※再度糊付けしたい方はお好みでどうぞ
⑩ジーンズに愛情を持つ
雑な穿き方をすれば雑な色落ちになるのがジーンズというものです。
丁寧に、大切に着用いただけば、その愛情に応えるかのように美しい色落ちが現れてくるはずです。
「花には水、ジーンズには愛情」
これです。
...以上がCONTRABANDが推奨するジーンズの初回洗濯方法です。
2回目以降の洗濯については...初回と同じように洗ってもいいですし、裏返して洗濯機で..という方もいますが、基本的なポイントは同じです。特に「皺をのばす」というポイントだけは大切です。
【最後に】
デニムは本当に特殊な素材です。
十人十色...同じリジッドジーンズを穿き続けても、それぞれ全く別物のように変化していくものです。
だからこそデニム素材、ジーンズは奥が深く、根強いファンが多いのでしょう。
一本のジーンズを穿き続けるとなると、とても長持ちします。
人生で、色落ちを楽しむことができるジーンズの本数は限られています。
CONTRABANDのジーンズが、その中の一本として、皆様の記憶に残ることを願ってやみません。
《CONTRABANDのリジッドジーンズはコチラ》
CONTRABAND /RAW DENIM COLLECTION